兄の引っ越しと家族の絆

私には3つ年上の兄がいて、私が高校に入学する時、大学に行くため家を出て、一人暮らしを始めた。
その年の3月初旬、家族4人で兄の引っ越しをした。引っ越しといっても、男の1人暮らし、たいした荷物があるわけでもなく、親戚からバンを借り、その1台にすべての荷物を積んだ。
引っ越し当日、私はいつもと変わらない朝を過ごしていた。いよいよ出発の時間、部屋へ迎えに行くと、兄は一人、自分の部屋で涙を流していた。びっくりしたが、気づかないふりをして、出発。車中でもいつもと変わらず家族4人で談笑しながら、これから兄が暮らすアパートへと向かった。
無事アパートへの荷物の積み込みや、簡単な整理も終わり、兄との別れの時。兄はアパートに来て心が切り替わったようで、もう涙を流すことはなかった。
車で寝ながら帰ってきた私は、家に入ると真っ先に兄の部屋へ行き、そして泣いた。生まれてからずっと家族3人がそばにいてくれた私にとって、家族が離れるのは初めてだった。兄がいない事を実感し、涙があふれた。後で父に聞いた事だが、母も帰りの車でずっと泣いていたそうだ。
兄の引っ越しで家族の絆や、いつもそばにいてくれる大切さが分かった。
そして4年後、兄が大学を終え、家に戻るため、4年前と同じ道を、今度は4人で帰って来た。