ある引っ越し業者の話

昔取引先の会社で運送業をやっているところがありました。建物は古く、また運送業の割にはトラックの自社保有台数が少ない会社でした。運送業といっても様々なものがあります。コンビニに配送したり、ポピュラーなところでは宅急便、運ぶものや距離など様々です。その会社は主に引っ越しをやっている、と聞きました。
引っ越しといえばテレビで頻繁にCMを出している大手の会社が有名です。電話帳やチラシで小さな業者は宣伝していますが、やはり大手にはかなわないようです。しかしその取引先は順調に業績を伸ばしていました。傍目に見れば小さな地元の運送屋さん、といった感じですが実はかなり特殊な引っ越しを得意とするスペシャリストでした。
一般的に神戸の引っ越し業者が忙しいのは春先です。就職や進学などがあるからです。しかしその会社は特に春先が忙しい訳では無く、夜が忙しいと言っていました。その会に社の得意分野は実は「夜逃げ」なのです。さすがにこれは表沙汰に大きく宣伝出来ないので、社長の特別なコネから顧客を獲得しているようなのです。引っ越しそのものはかなり普通のやり方と違います。トラックは極力レンタカーを使います。普通は寝静まる時間を狙って素早く家財用品を持ちだし、夜中に目的地まで運ぶそうです。料金もそれなりにかかるみたいですが、需要は途絶えないらしいです。